中学校1年生に薦めたい本100冊vol.7 10月

この関係がいいね!~兄妹、友情、恋愛、…。

最近、人との関係を
築けない子どもが増えています。
自分から話しかけることができない、
集団への参加のしかたが分からない、
友達関係のつくり方が分からない、など
自ら孤立してしまう子どもが
目立つようになりました。

少子化により
地域内の子どもの数が減少したこと、
ゲーム機の普及により
仲間をつくらなくても
遊べるようになったこと、
そうした環境に起因する問題や、
発達障害を含む
本人の特性にかかわる問題など、
原因はさまざまでしょう。
かつて私が勤務した学校では、
入学時の4月に、
ソーシャルスキルを学ばせるような
体験的学習活動を周到に設定し、
対応したこともありました。

さて、
読書を通じて人間関係を学ぶことも
子どもたちにとっては
大切だと思うのです。
本の世界では
自分の周囲とは異なる魅力を持った
兄弟、友達、先輩、大人たちが
多数存在し、
子どもたちを待っているのですから。
そんな素敵な人間関係を描いた
8冊を取り上げてみます。

その1
「ぼくらのバス」(大島真寿美)

小学5年生の圭太は
弟の広太を誘って
「バスの図書館」へ行く。
管理人のおじいさんが
亡くなって以来、
使われずにいたバスの図書館。
二人はこっそり忍び込み、
秘密基地へと仕上げていく。
ある日、そこに
家出中学生の順平が加わり…。

その2
「うさぎパン」(瀧羽麻子)

お嬢様学校育ちの優子は、
同級生の富田と
大好きなパン屋巡りを始める。
継母と暮らす優子と
両親が離婚した富田。
二人は互いへの淡い思いと
家族への気持ちを深めていく。
そんなある日、
優子の目の前に
思いがけない女性が現れ…。

その3
「ステップファザー・ステップ」
(宮部みゆき)

プロの窃盗犯である「俺」は、
悪天候の中で失敗し、気を失う。
助け出してくれたのは
双子の中学生。
驚くことに
二人の両親は同時に
駆け落ち家出をしたのだという。
二人は「俺」を泥棒だと見抜き、
ある取引を提案してきた。
それは…。

その4
「ビート・キッズ Beat Kids」
(風野潮)

「吹奏楽部に入って
大太鼓叩いてくれるよね」。
同級生・望に誘われるがまま
音楽室に向かった英二は、
そこで命令口調の
部長・七生と出会う。
七生の厳しい練習の末、
英二はパーカッションの魅力に
目覚める。
ところが英二の一家は…。

その5
「だいじな本のみつけ方」
(大崎梢)

野々香は放課後の校舎で、
まだ書店に並んでいないはずの
文庫本を見つける。
大好きな作家・新木真琴の
発売前の新作がどうしてここに?
誰が読んでいるの?
本好きな仲間たちと
それを調べるうちに、
野々香は作家・新木
その人と出会う…。

その6
「楽隊のうさぎ」(中沢けい)

引っ込み思案の克久は、
中学入学後、迷いながらも
吹奏楽部に入部する。
花の木中吹奏楽部は
昨年度全国大会で
金賞を受賞した、
練習の厳しい部活動だった。
先輩・友人・教師と接する中で、
克久は次第に
吹奏楽にのめり込んでいく…。

その7
「きみの友だち」(重松清)

交通事故で
左脚が不自由になった恵美は、
どうせ跳べないのだからと、
縄跳び大会の回し手に
暗黙のうちに決められてしまう。
もう一人の回し手の由香は
病弱な体質だった。
縄を回す練習をしようと
提案する由香に対して
恵美は…。

その8
「こうばしい日々」(江國香織)

今日は「僕」・ダイの
11歳の誕生日だ。
出がけにお姉ちゃんが
プレゼントをくれた。
でもそれより嬉しかったのは
ジルからもらったプレゼント。
去年のクリスマスに
ラブレターをもらって以来、
僕たちは何となく
つきあっている…。

山本周五郎の「さぶ」なども
加えたいところですが、
あえて現代作家のみを集めてみました。

読んだ後に子どもたちが、
「こんな関係を自分の身のまわりにも
つくりたい」と考えてくれればいいなと
思っています。

(2020.8.31)

jun0126によるPixabayからの画像

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